ストレス・マネジメントとは過剰なストレスが引き起こすさまざまな問題を解決することではなく、むしろこうした問題が発生しないように各種の防止策を施すことです。そのためにはストレスの原因が何かを具体的に把握しなければならないのと同時に、こうした問題を解決するのだという経営層の確固たる姿勢がとても重要になります。経営層が労働者の心身の健康を重要視している事を示すためには、経営理念などに明記し内外に表明する事が効果的です。こうした理念の表明は現場活動における働き方にも直接的に影響するので、確実に効果が表れます。

理念を具体化させる方法としては、ストレス・マネジメントをPDCAサイクルで回していくという方法があります。ストレス・マネジメントにおける具体的施策の決定過程は総務など間接部門が担う場合が多いのですが、一般社員による衛生委員会を設けてPDCAサイクルを運用するという方法も効果的です。

この衛生委員会を活用するメリットは、ストレス・マネジメントのやらされている感を取り除き社員個々のストレス・マネジメントに対する理解を浸透させられると期待出来る点にあります。また、ストレスの原因を直接知っているのは現場ですから、より具体的に原因を把握しやすくなるという利点もあります。ただし全てのPDCAサイクルを社内で完結するのは、特に施策の点で難しい面もあります。ストレス・マネジメントでは、こうした専門性が求められる部分では、労働衛生コンサルタントの有資格者の活用や産業保健総合支援センターに相談するなど、外部資源の活用を図るのも重要で効果的です。